教育プログラムの概要と活動

教育プログラムの概要

1.研究活動の把握能力の養成

研究者の外部資金獲得状況や商用データベース等で見られる論文の引用の度合い等の外形的な情報は、一次情報として重要ですが、それだけで研究プロジェクトを立ち上げる事は困難です。

研究支援者が大学での研究活動に関わるためには、大学独自の研究の文化の理解が必要です。さらに研究活動や産学官連携活動を支援する際は、大学内の研究者の研究ポリシーやスコープ等を理解することは必要不可欠で、その研究内容そのものに対してもある一定レベルの理解がなされていることが好ましいと考えられます。

一方、研究そのものは仮に専門分野が異なっても、その論理構成は相似性があり、研究内容の理解は、多少の経験を積めばある程度の外形的な理解が可能です。

上述の内容の習得を目的に、大学の研究者に研究内容に関するプレゼンをしていただき、異分野連携や異セクター間連携による研究の発展の可能性について討議をしていただき、その提案内容について当該の研究者に評価と意見交換をおこないます。
 また、その討議内容をベースに、受講生には個々に研究の発展の可能性のあるテーマやフレームをレポートとして提出していただき、その評価を当該の研究者にしていただきます。

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2.知的財産と契約リテラシーの養成

知的財産の機関帰属をおこない契約をベースにした産学連携活動を行っている大学にとっては、ある一定レベルの知的財産制度や契約に関するリテラシーが研究支援従事者には必要です。こうしたリテラシーが欠如すると、知財管理や契約等の業務の主担当者との間にコミュニケーションの齟齬が発生し、そのこと自体が、産学官連携活動において障害になる可能性があります。

本コンソーシアムの座学講座では、特許法等の知的財産制度や、契約に関連した法律に関する知識、大学における知的財産に関する規定(有体物取扱、秘密保持契約を含む)等を習得します。またケース教材を用いた学習により個別事例への対応能力を向上させます。対象者の理解度はペーパーテスト等によって評価します。

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3.コンプライアンス・リスクマネジメント

研究支援者は、利益相反や研究者倫理等の大学でのコンプライアンスに関する基本的な事項を理解した上でその活動をおこなうことが必要です。何故なら、URAや産学連携コーディネータといった職種の立場で、研究プロジェクトに関わるのであれば、ある程度、こうした問題に対処できるマネジメント能力が必要であることはあきらかです。また、個々のコンプライアンスの担当者は大学内に存在していてもせいぜい1名もしくは2名程度であり、時間が経ることによって変化していく大学の研究活動の中で、どういった懸念が潜在的に存在するかすべてを把握することは困難であり、そこは研究支援や産学官連携といった教員の研究活動に関連する業務を担って、日常的に教員と接する機会のある、事務職員やURAとの連携協力が必須になります。そのためにも、ある一定のコンプライアンスの様々なテーマに関するリテラシーを研究支援者は有していることが必要です。もし理解をしていなければ、問題が発生した際に、その対処どころか、問題の所在さえ認識できずに看過してしまう可能性があります。

大学におけるコンプライアンスの対応は、“研究者が届を出して初めて大学が組織的な対応を開始する”のが一般的ですが、研究者自身はこうしたリスク対応に関しての意識が極めて低いことが多いのが現状であり、何か懸念すべき事項が発生しても顕在化されなければ、放置される可能性が十分にあります。
 本コンソーシアムの教育プログラムでは利益相反、研究者倫理、輸出管理、遺伝資源の取扱に関する座学や事例に基づくディスカッションの講座を実施し、対象者の理解度をペーパーテストによって評価します。

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4.ファンド申請に関わる業務遂行能力の向上

日本の科学技術政策に基づいて、JSTやNEDOと言った研究開発に関するファンディング事業の内容は定められています。こうしたファンドの申請に関与し“採択される”ためには、科学技術政策の方向性について十分な理解が必要です。またJSPS(日本学術振興会)の科学研究費やJSTやNEDO等のファンドメニューの性格の違いを把握することは、実際に研究者のファンド申請を支援する上で重要です。こうした公募事業の理解を深めるともに、申請書作成の方法等のファンド申請のスキルについて、実際に申請に用いられていた課題申請書のブラッシュアップ等のトレーニングを通じて向上させます。

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5.企業活動及び企業の研究開発活動の理解能力の向上

企業の技術経営に関する座学、ケースメソッドに基づく講座を実施します。大企業の行動様式だけでなく、地域での産学官連携においては中小企業の研究開発に関する考え方を理解することが必要ですが、一般的なMOTではあまり取り上げられない中小企業の研究開発の事業化における戦略やプロセスについても学びます。具体的には各大学が連携している大企業や中小企業の経営者や幹部技術者と討議する機会を提供し、“顕在的に発生している企業課題”の解決方法やその取り組みについてグループ討議を実施し研究開発活動の理解を深めます。グループ討議の内容に関連して課題を決め、これについて提出されたレポートにより評価をおこないます。

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6.プロジェクト企画立案能力とプロジェクト関係者の調整能力の向上

事例報告やOJTの結果を対象者同士で共有化し、グループ討議と討議結果の発表を行います。受講者の一連の活動報告内容から、自分自身の活動内容の相対化し、その資質の向上を目指していきます。また、研究プロジェクト形成のプロセスの中で研究支援者として関わるべきポイントについて受講者のプレゼンテーションの内容から指摘を行い、受講者自身に気付きを与え、活動のレベルが上がるようサポートを行います。

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